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甲状腺中毒症の鑑別

TRAb陰性のバセドウ病では、放射線ヨード摂取率検査で確定診断します。 摂取率検査ができない場合は、2週間後の甲状腺ホルモン値の変動を確認すること、および甲状腺エコーで甲状腺内の血流を見ることで診断に近づくことができます。バセドウ病では甲状腺内の血流が増加しており、無痛性甲状腺炎では低下しているからです。

最も注意すべき事> 無痛性甲状腺炎をバセドウ病と間違わないこと!

 バセドウ病に用いられる抗甲状腺薬には時に重篤な副作用が出現します。もし、診断確定しないまま、無痛性甲状腺炎に抗甲状腺薬を投与して、副作用が出たら一大事です。 TRAbが陰性のときにはバセドウ病であるかどうかを慎重に判断してから治療を開始します。

機能性結節(プランマー病)に対しては禁忌ではありませんが、通常は甲状腺機能亢進症の程度は軽いので治療を急ぐ必要はありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鑑別の手順>

  • TSH、FT 4、F3を測定します。 F4 、FT3高値、TSH低値、またはFT4、FT3正常、TS H 低値であれば甲状腺中毒症です。 このパターンから外れている場合は、専門医に紹介します。 バセドウ病、無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎、機能性結節(プランマー病)の4疾患を鑑別に挙げます。 甲状腺ホルモン剤の過剰内服の場合もありますが、ここでは省きます。
  • TRAbを測定します。TRAbが陽性ならば99%バセドウ病と診断できます。TRAb陰性のバセドウ病とTRAb陽性の無痛性甲状腺があることに注意。
  • TRAbが陰性の時は甲状腺の圧痛の有無を確認し、CRPを測定します。甲状腺に圧痛を認めれば、亜急性甲状腺炎と考えて良いでしょう。CRP陽性で甲状腺の痛みに一致した。低エコー像(炎症像)を確認できれば確定診断となります。
  • TRAb陰性で痛みがない時は、無痛性甲状腺炎または機能性結節(プランマー病)です。機能性結節はシンチグラフィーで確定診断します。放射線ヨード摂取率検査を行えないときの無痛性甲状腺炎の診断には、甲状腺ホルモン値の変動を見ます。無痛性甲状腺炎であれば多くの場合、2週間後には甲状腺ホルモン値が低下傾向となるので、診断の助けとなります。
  • 参考文献> 窪田純久:やさしく解説 甲状腺疾患の診断と治療:37-39,2016 一部改変

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