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25.08.03 塗抹法、合わせ法、圧挫法 、吹き付け法、血液除去法、液状物除去法、LBC、固定法

合わせ法(press and release method、bookend method)

・検体を2枚のスライドガラスで挟み、そのまま上下に離す。検体が厚く塗抹された場合には、スライドガラスの残りの部分を使って再度合わせ法を行う。

・スライドガラスが割れない程度にできるだけ強く合わせると、細胞がガラス面に貼り付けやすくなる。少量の血液を塗抹された場合は、合わせる時間を長めに(2〜3秒間)にすると、血液成分は辺縁に押しやられ細胞成分が塗抹されている中心部から、血液成分が排除され、観察しやすい標本となる。

・固形物、粘稠な液状検体、少量の液状検体の場合に適用される。

・検体がスライドガラスからはみ出ると判断した量の場合には、合わせ法を行う前に、下記の血液除去法、液状物除去法を行う。

・細胞の破壊が少なく、組織構築が保たれやすいので、細胞所見と組織構築の両方の観察に適している。

血液除去法、液状物除去法

・末梢血が大量に混入した場合、直ちにスライドガラスを斜め、あるいは垂直にし、血液成分を下方へ流し落とす。

・細胞成分の多くは、最初に塗抹された部分に透明感のある顆粒状物質として確認できる。

・流れ落ちた血液成分をティッシュペーパーで拭き取った後、合わせ法を行う。

・液状検体の場合も同様に行うが、さらさらの場合は細胞がガラスに付着するまで待ってから、(5から20秒)、液状成分をゆっくりと流し落とす。

圧挫法

・合わせ法の変法である。

組織片が採取された場合、検体を2枚のスライドガラスで挟み、両側から圧を加えて、組織片をつぶしてから上下に離す。

・圧を加えずに合わせ法を行うと、染色過程で組織塊が剥離することがある。また厚みのある標本になるため、強拡大での観察は困難を極める。

吹き付け法

・採取細胞量がわずかな場合、塗抹操作による乾燥変性を防ぐため、検体をスライドガラスに吹き出した後、何もせず直ちに固定する。

液状化検体法(Liquid-based cytology : LBC)

嚢胞液を吸引した場合、採取細胞量が少ないと判断した場合、末梢血が混入した場合に推奨される。

・検体の全てをそのままLBC固定液に入れる方法(LBC単独法)と、塗抹後の針をLBC固定液で洗浄しLBC検体とする方法(通常塗抹・LBC併用法)がある。

・LBC固定液は溶血作用・蛋白分解作用のあるものが推奨される。

・LBC法は細胞の回収率が良く、併用法において通常塗抹標本よりも採取細胞量が多いことをしばしば経験する。

固定法

パパニコロウ染色では湿固定(当院で採用)、ギムザ染色では、乾燥固定(5分ほど冷風を当てる)を行う。

・湿固定には、95%エタノール、スプレー式固定液、滴下式固定液(当院で使用)などがある。

・細胞成分が主体、粘稠なコロイド、採取細胞量が僅かな場合は、塗抹後直ちに固定を行う。

・液状検体の場合、塗抹後すぐに固定すると、せっかく採取した細胞のほとんどがスライドガラスに付着せず、固定液の中に流れ出て検体不適正と判断されることになる。

粘度の低い、さらさら液状検体の場合は、塗抹後10〜30秒ほど自然乾燥し、検体の粘度を上げてから固定すると良い。この間細胞は穿刺液の中に浮遊しているため変性する事は無い。

 

廣川満良、他., 超音波・細胞・組織から見た甲状腺疾患診断アトラス(第一版) 17-33, 2022 を参考に、一部改、追記

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