糖尿病の合併症
急性合併症>
・急性合併症は主に代謝異常に基づく病態であり、糖尿病のいかなる時期にも起こりうる。
・いずれも重症になると意識障害も原因になるので、早急かつ的確な対応が必要となる。
糖尿病ケトアシドーシス(DKA)
1型糖尿病に多い。インスリンの絶対的欠乏により脂肪分解が進み、ケトン体が生成されケトーシスとなり昏睡に至る。
高浸透圧高血糖症候群
2型糖尿病の高齢者に多い。感染や脱水が誘因となり著明な高血糖および高浸透圧をきたし、脳神経の細胞内脱水が起こる。
低血糖による昏睡:
インスリン、SU薬などを使用中の患者で過剰な血糖降下作用などによって低血糖をきたし、自律・中枢神経症状が出現する。
慢性合併症
糖尿病の慢性合併症として、高血糖の持続による血管性合併症が重要である。
細小血管障害
網膜症:慢性の高血糖により網膜細小血管が障害されて新生血管が発生する。これが破綻することによって出血し増殖膜が生じ網膜を牽引することで網膜剥離をきたす。
腎症:糸球体係蹄の細小血管障害により、糸球体に硬化性病変が生じる。
神経障害:神経栄養血管の細小血管障害や血栓症あるいは神経組織の代謝異常により、感覚神経や自律神経などが障害される。
大血管障害
心筋梗塞:冠動脈の硬化により狭心症、心筋梗塞が起こる。
脳梗塞:脳血管の硬化により脳梗塞が起こる。
閉塞性動脈硬化症(ASO):下肢の動脈硬化により虚血性病変が生じる。